2009-04-13(vol. 148) | |||||
─ ドイツの福祉分野から2題 |
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□□ 目次 □□ 【インタビュー】幼稚園運営のチームマネジメント (園長シビレ・ハルトルさん) 【ニュース】ドイツの社会保障の歴史展覧会/「未来を考える」 【編集後記】福祉という正義の難しさ |
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【インタビュー】 幼稚園運営のチームマネジメント 指揮者はいないが、ルールはある キンダーセンター・トミチール園長 シビレ・ハルトルさん エアランゲン市内で常に新しい取り組みを行うことで知られる幼稚園、キンダーセンター・トミチールの園長、シビレ・ハルトルさんにマネジメントについてきいた。なお、ドイツの小学校は午前中でおわるため、午後から隣接する小学校からも一部の子供がやってくる。日本でいうところの学童保育のような機能も持っている。そのため『キンダーガルテン(幼稚園)』ではなく『キンダー・センター』としているが、ここでは『幼稚園』と記す。(取材・構成:高松平藏) 本文はこちら 【ニュース】 ドイツの社会保障の歴史展覧会 「未来を考える」
同市内の産業文化ミュージアムで昨年10月から今年3月1日にかけて『未来を考える―ドイツ社会保障史のビジュアルと記録』と題した展覧会が行われた。 この展覧会はドイツ連邦労働社会問題省によるもので、ドイツの社会福祉に関する歴史を写真や図表パネル、法律文書、手紙などをつかって一気に見せる。またテーマにそって等身大の真白な人形で当時の状況がイメージされるような展示をされているところもある。 ドイツは社会保障システムを先駆的に整備してきた国だ。とりわけ世界で初めて社会保険制度を誕生させた19世紀のビスマルクの政策はよく知られている。 また中世から19世紀にいたるまでの期間も扱われている。国家による社会保障の概念や制度はビスマルク以前から宗教や都市の中で育まれてきた一面もあるからだ。この流れから見ると、宗教を起源にした価値観が社会保障制度の成立につながっている。 一方、今日のグローバル化の中では、社会保障を誰がどうやって今後支えていくのか、どのような合意を構築すべきか、という根源的な問題を抱えている。それだけに歴史を見直すことは意義がある。同省はこうした展覧会を通じて、人々に社会保障に対する歴史やイメージをもってもらうことができ、今後の効果の大きい社会保障の発展につながるとしている。 同展覧会は1987年以降ドイツ国内を約40か所を巡回し、約50万人の訪問数を数える。『日本におけるドイツ年 2005/2006』のときには、京都・東京でも開催された。(了) 【編集後記】 福祉という正義の難しさ ◆福祉はある種の正義だ。この分野のシステムや組織が健全に機能するには、理念とともに必要な合理性・効率性が求められる。 ◆幼稚園も福祉の文脈で成り立ってきた一面があるが、一方で子供の能力向上など現代社会の中での期待も様変わりしている。つまり幼稚園を運営する側の仕事が増えているということだ。そんな中、保育という福祉をひきうけ、さらにビジョンを提示・共有していくハルトルさんのやり方はいかにもスマートだ。 ◆正義としての社会保障。これは困っている人を皆で助けるという基本的な考え方を法律と税金の体系で運営するものだといえる。が、国民国家という枠組みが変化している今、根源的なところにゆらぎがある。ただ『正義の実現』が一筋縄ではいかないことも確かで、展覧会はそれを雄弁に語っている。(高松 平藏) |
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■■インターローカルニュース■■ 発 行 : インターローカルジャーナル http://www.interlocal.org/ 発 行 人 : 高松平藏 発 行 日 : 不定期 Copyright(C) Interlocal Journal |
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