2008-11-24(vol. 147)
 ─ 社会と宗教
□□ 目次 □□
【インタビュー】キリスト教社会での仏教(ングエン・タン・ロクさん)

【ニュース】新興住宅地のコミュニケーション促進
【編集後記】社会という共通基盤

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【インタビュー】
 
キリスト教社会での仏教
 ベトナム仏教徒協会 代表 ングエン・タン・ロクさん



ドイツ南部のニュルンベルク市(バイエルン州)に仏教を軸に文化や教育について活動を展開しているフェライン(非営利法人)『ベトナム仏教徒協会』がある。同団体の代表ングエン・タン・ロクさんに話をきいた。社会の中で宗教はどのような役割を担うべきかを示唆している。(取材・構成:高松平藏)

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【ニュース】
新興住宅地のコミュニケーション促進
5つの教会が共同で


新興住宅地の芝生の広場で行われた野外ミサ(9月21日)
【エアランゲン】複数の教会が共同で新興住宅地でミサをとりおこなっている。

エアランゲン市内でかつて米軍の駐留施設があったローテルハイムパークは都市計画のもと、住宅地として開発された。4,5年前から住宅が一気に増え、それに伴い新しい住民も急速に増えた。

これに呼応するかたちで、同地域の周辺のプロテスタント系の5つの教会が共同でミサを行っている。

このミサは毎月最後の日曜に行われるもので、9月には芝生の広場で『オープン・エア・ミサ』として開催された。ミサというと天井の高い教会で厳かなパイプオルガン、賛美歌などを思い起こす人も少なくないが、芝生の上の野外ミサとあって、いかにも楽しげだ。

賛美歌を歌う
若者の参加も見られる
ミサのあと、そのまま家族で遊んだり、ピクニックができるようなプログラムが組まれている。この日はあいにくの曇り空だったが、家族連れを中心に多くの人が集まった。こうした活動により、新興の地域住民のコミュニケーションを促進し一体感をつくっていくかたちだ。

さてドイツは言わずと知れたキリスト教の社会。しかし近年は統計上の信者数は減り、毎日曜日のミサに参加する人の数も少ない。

それにしても地域社会での教会の存在感は依然大きい。教区に住む人にとって、宗教施設であることに加え、文化やコミュニケーションのための施設として機能。日本の一般的な寺院とはずいぶん様子は異なる。

ひるがえって、同新興住宅地でも教会が地域社会における役割を担おうとしているかたちだ。(了)




【編集後記】
社会という共通基盤

日本でも文化やコミュニケーションなどの『場』として展開しているお寺がある。とりわけよく知られているのが、大阪の應典院(おうてんいん)だろう。

初めてお会いしたときに、住職の秋田光彦さんが『日本の仏教は“葬式仏教”と化している』と喝破されていた。たいへん印象的だった。

かつて、お寺は『学び、癒し、楽しみ』といったものを歴史の中で担っていたという。それに対して、ドイツに目を転じると、地域社会の中で教会という宗教施設が今も、当たり前のようにこういった機能を持っている。

ニュルンベルクの仏教の施設は、同じ仏教といっても日本の寺院とは趣きが異なる。そのため私個人にとってその雰囲気に慣れるのは難しい。しかしながら、自分たちのルーツを確認し、さらに異文化理解のために活動しくというングエン氏の考え方は納得できた。

ドイツの教会やニュルンベルクの仏教協会の様子から浮かんでくるのが、社会という共通基盤の中にこそ宗教の役割があるという意識。これはカルト宗教や秋田さんのいう『葬式仏教』からは見出しにくい。(高松 平藏)


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発  行  人 : 高松平藏 
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