2008-04-07 (vol. 144) | |||||||
─ 文化と市民と地域 |
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□□ 目次 □□ 【インタビュー】日独の演劇と子供/俳優・松野方子さん 【ニュース】動け地域、4都市共同でダンス・フェスティバル 【編集後記】芸術と社会 |
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【インタビュー】 日独の演劇と子供 俳優 松野方子さん 文化庁の海外派遣プログラムで昨年11月から今年の1月にかけてドイツに滞在した俳優・演出助手の松野方子さんに話をきいた。同氏は劇団『仲間』に所属し、小中学生を対象としたワークショップなども手がけている。 続きはこちら 【ニュース】 動け地域、4都市共同でダンス・フェスティバル バイエルン州北部の隣接している4都市が共同でダンス・フェスティバルを開催している。
ダンス・フェスティバル『タンツェン!08』は今月2日から19日にかけて行われるもので、隣接しあうニュルンベルク、フュルト、エアランゲン、シュワバッハの4都市による広域文化プロジェクト。 公演をはじめ、ワークショップ、ダンスを主題にした映画の上映、見本市、ダンス・プロジェクト、写真の展覧会、シンポジウムなど74以上のプログラムが組まれている。 2日にニュルンベルクの文化施設でオープニングイベントが行われた。380人の小学生たちによるダンスをはじめ、同施設内で展示される写真展の公開された。また各都市の文化担当責任者らが祝辞が述べ、施設内の廊下や階段でダンスパフォーマンスなどが行われた。 同フェスティバルにはニュルンベルクのシュパルダ銀行がメインスポンサーになっているが、最高経営責任者のペーター・ヘリング氏は『ダンスは感覚の伴う夢だ。しかし、われわれ銀行家は(残念ながらダンスのように)エモーショナルにはなるわけにはいきません』と述べ、会場の笑いを誘う一幕もあった。 ■広い、ダンスの間口
日本に紹介される欧州のダンス・フェスティバルといえばコンテンポラリーダンスを中心にしたものを指すことが多いが、同フェスティバルでは趣味としてバレエやタンゴといったダンスを楽しむアマチュアも視野にはいっている。そのため各種のダンス教室やグループも数多く参加している。 そもそも趣味の範囲を含めると、ドイツのダンス人口は多い。それを示したのが、5-6日にフュルトの市営ホールで行われた見本市だろう。出展者はダンスの教室やクラブ(非営利法人)、衣装販売者などで、明らかにアマチュアダンサーを対象にしたもの。出展者数は70以上にのぼり、会場内の舞台では100以上のグループがダンスを披露した。 見本市に出展しているダンス教室やクラブは2日のオープニングイベントでも短いプレゼンテーションを行ったが、ヒップホップ、アイリッシュダンス、サルサ、インド舞踊、クラシック・バレエ、アフリカンダンス、コンテンポラリーダンス、ルネッサンス期のダンス、フラメンコ、ミュージカルとその種類も多い。 また、シニア対象のものや学校単位でダンス・プロジェクトも行われるのも特徴。これらは社会文化と芸術イノベーションという位置づけがなされている。ちなみに、『社会文化』とは市民参加やコミュニケーションなどに重点をおいた文化の概念で、ドイツでは1970年代から発達してきた。 他方、エアランゲン市ではアマチュア写真クラブもフェスティバルに参加。撮影した写真を後日、市役所で公開される予定だ。フェスティバルの記録としてもユニークな取り組みといえるだろう。 ダンスを間口にドイツ国外のアーティストによる公演をはじめ、地元のアーティストたちが取り組み、地域の人々が鑑賞・参加できるフェスティバルというわけだ。 ■EU拡大の中の文化政策 同フェスティバルの主催は4都市による『広域文化連合』。1988年に広域の文化イノベーション・プロジェクトを行う目的で作られた。これまで多彩な文化プログラムを展開している。 元々ドイツの文化政策は地方が主役で、4都市もそれぞれ独自の文化プログラムを行っている。他方、今回のフェスティバルのように共同で取り組むことで、実際のコスト削減などの実質的な効果も考えられるが、同地方の連帯感・存在感、生活の質、市民の同地方に対する愛着などを高めることにつながる。 近年、ドイツの自治体は拡大傾向にあるEUをにらみ、その存在感や優位性を示そうとする動きがある。その一手段が近隣自治体の連携だが、同4都市の取り組みもそんな動きの中にあるといえる。(了) 【編集後記】 芸術と社会 ◆私のまわりを見ると、ダンスの愛好者はけっこう多い。アーティストとして活躍している友人や知人もいるが、多くは趣味や教養、美容、健康などの目的でダンスの教室に行くといったような人たちだ。また、結婚式の前にはあわてて社交ダンスの教室に行く人も少なくない。アフリカンダンスやアラブ圏のダンス『ベリーダンス』など、フォークダンス系のものも人気が高い。 ◆私の長女も本人の希望でバレエ教室に行かせている。日本ではある時期、地方でもピアノを学ぶ子供が多かったが、この感覚に近いものがある。実際、教室には同級生や同じ学校の子供たちも数多く学んでいる。また『子供のときにバレエを習っていた』という大人も多い。 ◆松野方子さんはドイツでの視察の話をたっぷりインタビューで語ってくださったが、演劇も学校などで扱われることがよく見られる。楽しみながら大勢で何かを作り、成功させるということは時間もかかる。多くの協力があったとしても、お金もかかる。それでもこんな取り組みで得るものは大きい。社会における芸術の価値がここにある。 ◆いずれのケースも芸術と社会の歴史的な背景が成り立たせているといえばそれまでだが、ドイツの場合、自治体の文化政策が加わる。自治体がフェスティバルという枠組みを用意することで、バラバラに地元でダンスの活動をしている市民たちがパッケージ化され、街の主人公になる。そして、地元のダンスの種類や規模が顕在化するほか、生活の質を高めるために新しくダンスを始めようという人も出てくるだろう。(高松 平藏) |
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