ドイツ・エアランゲン在住ジャーナリスト
高松平藏 のノート
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2010年12月31日



『私たちはエアランゲン』


エアランゲン在住の外国人についてとりあげた本がドイツでこのほど出版された。この中で私もとりあげていただいたので書きとめておきたい。

20カ国、30人!
2010年10月発行の『私たちはエアランゲン』。市内に住む20カ国30人の外国人市民が登場。
本のタイトルは『私たちはエアランゲン』(原語:Wir sind Erlangen)。同市に住む20カ国30人の外国人市民の物語が書かれている。ここに登場する外国人市民は起業家、アーティスト、研究者などとして生活している人物たちが登場。エアランゲン市の外国人比率は約15%。約140カ国からきている。『移民を背景にした人』と範囲を広げると、外国系市民の数は25%にまでなる。

この書籍は同市副市長のエリザベート・プロイス氏と国際・統合政策担当のシルビア・クラインさんが計画したもの。昨今ドイツでは外国系市民との統合政策について議論が高まっているが、この本自体が町にとって一種の政策だ。

ところで不肖ながら、私もプロイス副市長から直々に手紙をいただき、インタビューを受けた。そして同書に私の仕事や家族、生活、なぜエアランゲンに住むようになったのか、という話を掲載していただいた。

また、写真はトルコ出身の地元の作家、ハビブ・ベクタスさんと一緒におさまった。彼は私にとってエアランゲンで初めての友人だからだ。

以下、内容を簡単に紹介しておく。タイトルは『プロトタイプ(典型的な)好奇心』

-プロトタイプ(典型的な)好奇心-
書籍に掲載された記事『プロトタイプ好奇心』
左はエアランゲンの『御当地作家』、ハビブ・ベクタス氏
彼はエアランゲンで自分が異邦人であることをあまり感じていないが、これは妻、アンドレアのおかげだろう。日本学・中国学・歴史を学んだ彼女は言語と文化の理想のガイドだからだ。

『新エアランガー』は1969年、日本の奈良で生まれた。ドイツに来る前、京都で『京都経済新聞社』の立ち上げに参画。現在はフリーランス・ジャーナリストとしてドイツの社会、文化、経済、環境問題などを扱うが、それぞれのテーマを関連させながら書いている。また、特に地域問題に焦点をあてている。具体的にはエアランゲンとその周辺地域の中央フランケン地方での体験を通してドイツやドイツ人に関する記事にまとめる。

現在、彼の家庭ではふたつの世界がある。子供たちには2つの言語と日本の文化と生活習慣との接点を持ち続けてほしいと彼は思っている。

またエアランゲンで色んな人と結びつきがある。作家のハビブ・ベクタス氏はエアランゲンで初めて知り合った友人であり、尊敬している。市会議員、文化局長などとも交流がある。これらの人々は日本語でエアランゲンの文化や生活を書く時に登場する。こういったひとつひとつが彼の中でドイツ人の全体像としてできあがってくる。そんなものが彼の2冊の本(『ドイツの地方都市はなぜ元気なのか』『エコライフ ドイツと日本どう違う』)に反映されている。

エアランゲンを出たくない理由は家族がいるからだけではない。というのも彼は田舎で育ったので、大都市は合わないが、エアランゲンはあまり大きすぎず気持ちのいい雰囲気があるからだ。幅広い文化イベントもある、スポーツもできる。彼はスポーツNPOの柔道にも参加し、とけこんでいる。そして彼は(この町で)自分が動きたいと思うように動ける。それは京都のコンテンポラリーダンスのNPO“JCDN”のメンバーでもあるから(ダンスを踊るかのように動けるの)だろう。

『私はドイツに来たというよりも、エアランゲンに来た』と彼はいう。町は日本人としてのドイツの見方を確認し、よりはっきりさせてくれる。これは『ジャーナリストもまた市民である』という彼のジャーナリズムの解釈につながる。この現代的な報道の考え方はネット時代によく合う。高松平藏のジャーナリストとしての意識としては好奇心と理解しようという気持ちが強い。彼はいい意味でまだまだエアランゲンに対して好奇心を持っている。(了)


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