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ドイツの地方都市はなぜ元気なのか

小さな街の輝くクオリティ

高松 平藏 

装丁:上野かおる
出版社:学芸出版
定価1890円(本体1800円)
2008.5.30 初版発行

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拙著について




『自分の街をどう見直すか』を考えるヒントに

■ドイツに『地方都市』はない
元気な街とは何か。
それは経済も文化も充実し、そればかりか福祉や教育といったものすべてがそろっているような街だ。こういう街には職場があり生活の質も高い。

ドイツは連邦制をしいている。つまり地方分権型の国家だが、これは逆にいえば地方がそれぞれ元気で独立意識とそれを支える強いアイデンティティがなければ成立しない。だから日本のように東京(中央)に対する『地方都市』というような言い方は、私はドイツで聞いたことがない。


■街は「限定された空間」という発想
街のサイズも全般的に小ぶりだ。10万人クラスの街から『大規模都市』と呼ばれ、その中に何でも揃っていなければならない、と考える向きが強い。

さらに歴史背景からいえばドイツの都市といえば城壁に囲まれた人口空間ともいえるわけだが、上から見ると大きな鍋の中に街があるようなものである。

街の人々はこの限定された空間の中で経済や文化、教育、福祉といったあらゆるものを編み上げなければならない。『何でも揃っていなければならない』という発想の背景にはそんな空間意識が見出せる。


■質の高い都市(クオリティ・シティ)のメカニズムを解明
私が住むエアランゲンも人口10万人の『大規模都市』だが、定点観測的に取材していると、まず目につくのが独立意識の高さだろう。さらに独自の経済戦略、文化政策等が充実している。しばしば『小さな大都市』と形容される。

また都市のアイデンティティを高める仕掛けがあり、地元の住民や企業、行政も地域の質を高めようという意欲が高い。その結果、都市の質が高まり、それがまた街の魅力につながっていく。

拙著では同市および周辺地域の具体的な出来事をとりあげた。そして都市の中で人や機関・組織、法律などがどのような関係性を持っているのかに着目し、質の高い都市(クオリティ・シティ)がどのように生み出され、維持・発展されていくのかというメカニズムを解明した。


■処方箋にはならないが・・・
さて、ここで日本をかえりみると、地域社会の崩壊をいわれて久しい。同時に地方分権の議論もある。地域社会がどうあるべきかということを考えなおさねばならない状況が続いている。

拙著はそんな時代の処方箋である。といいたいが、本書でとりあげた事例をある程度、『輸入』できたとしても、『特効薬』にはなりえない。

ただ、市民社会とは何か、行政・地方政治とは何か、地方経済とは何かといった各課題をにらみながら、自分の街をどう見直せばよいかを考えるヒントは多く見出せると思う。

拙著所感
『インターローカル・ブック』になるか!?
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エコライフ

ドイツと日本どうちがう

高松 平藏 高松アンドレア 著

化学同人 定価:本体1500円+税
■本について
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2008年5月30日 高松 平藏