ドイツ・エアランゲン在住ジャーナリスト
高松平藏 のノート
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2010年9月28日



ピンク・レディーから AKB48 まで


ドイツ・日本をルーツとするわが家の子供たちにとって日本の歌謡曲は魅力的な音楽のひとつだが、子供たちの様子を見ていると、日本と自分の関係を確認したり、交流や自己表現のツールにもなっているようだ。

ドイツでピンク・レディー
経緯を話せば長くなるので省略するが、わが家の子供たち、特に長女と次女はこの1年ぐらいでどういうわけかピンク・レディーにはまった。挙句のはて、今年のイースターにはピンク・レディーのCDをプレゼントにすることになった。

そんな長女と次女は振付まで完璧。いまどき日本でピンク・レディーをコピーしている子供はそうはいまい。

7月に他の子供たちとキャンプに行くことがあった。それぞれお気に入りのCDを持参することになっていたのだが、長女と次女は迷わずピンク・レディーをリュックサックにつめた。

そしてキャンプでのある夜のパーティではピンク・レディーの歌と踊りを披露。『結局、全員に振付を教えてみんなで踊ってきたよ』とからからと笑うのであった。ドイツのキャンプ場でピンク・レディーが歌われ、踊られているとは、ケイちゃんもミーちゃんも思いもよらないことであろう。私の2歳下の妹も子供のころ、歌って踊っていたクチだがが、今の子供たちにとっても、とっつきのいいメロディで、踊りも魅力的なのだろう。

さて、時代錯誤の子供たちの『ブーム』だが、世はインターネットの時代。ピンク・レディーをキーワードにネット上を渉猟しているうちに辻希美と加護亜依によるユニット 『W(ダブルユー)』にたどりついた。彼女たちはピンク・レディーをはじめ、ザ・ピーナッツや あみん、ウィンクなど往年の歌謡曲をカバーしている。おかげで子供たちは知らぬ間に懐メロをおぼえてしまった。

カラオケ
そんな子供たちの次の舞台は日本である。
この夏、2年ぶりに日本に滞在した。子供たちは毎回、カラオケに行くのを楽しみにしているのだが、これまでは、まだまだ大人が中心になって楽しんでいた。とりわけ、前回はドイツ人の友人たちも一緒だったから、完全に大人主導。歌った曲も洋楽が多かった。

ところが一転して今回はレパートリーが増えたうえに家族カラオケだ。主導権は子供たちが握ってしまった。この家族カラオケ、子供たちのたっての希望でおばあちゃん(私の母ですな)も参加。おばあちゃんは子供たちの『ピンク・レディー』の歌と踊りを見ることになったのであった。

さらに『W(ダブルユー)』が古い歌をカバーしていたおかげで、ザ・ピーナッツの歌など、おばあちゃんと一緒に歌える歌があったのもよかった。

余談ながら、最後は『ロックバルーンは99』をみんなで歌っておひらき。妻はカラオケがあまり好きではなく、歌うことはほとんどないが、この曲だけは一緒に楽しんだ。この歌は80年代に世界的にヒットしたドイツのポップスグループ、ネーナの曲だ。ドイツでスタンダード化しており、子供たちも良く知っているのだが、歌い終わった後に妻が『歌詞のタイプミスが多すぎる』とポロっとこぼしたのには吹いてしまった。

ひるがえって、わが家の子供たちにとって、日本は生活のベースではないが、たぶんアイデンティティをかたちづくる大きな要素になっている。結果的にこうした歌を通じて子供たちは日本との関わりを作っているといえるだろう。

学校で仕入れてきた流行
ところで、ドイツに戻る直前に、日本の小・中学校に2日間だけ『体験入学』させてもらった。そこで、子供たちは日本では今、AKB48が流行っているということを仕入れてきた。流行の変化がめまぐるしい日本で、W(ダブルユー)ももはや過去のものという感じだが、日本の学校で最新のものを知ってきたというわけだ。

AKB48の楽曲にどのようなものがあるのか、子供たちはまだ把握していないが、長女はドイツに戻ってからさっそくインターネットで検索。学校の授業で機会があれば日本のサブカルチャーとして発表しようとたくらんでいる。今年のクリスマスにはプレゼントにAKB48のCDをせがまれそうだ。(了)


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