ドイツ・エアランゲン在住ジャーナリスト
高松平藏 のノート
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2008年6月12日



『インターローカル・ブック』になるか!?


先月、新刊を出版した。住まいしているエアランゲンを中心に描いた本だが、著者としてのひそかな『期待』を簡単に記しておきたい。
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地域報道のグローバル化

ドイツの地方都市は
なぜ元気なのか
小さな街の輝くクオリティ
高松 平藏 著

■本について
■購入する(Amazonのページにとびます
学芸出版社(京都)から、拙著『ドイツの地方都市はなぜ元気なのか 小さな街の輝くクオリティ』を出版した。

私が住まいしているエアランゲンを中心に描いた本で、先月末から本屋さんに並んでいる(はずだ)。

中身はというと、エアランゲンを中心に具体例をかなりふんだんに盛り込んでいる。これは京都経済新聞社が発行している新聞に連載で書いたものがけっこうベースになっているのだが、私としては地域報道のひとつの発展したかたちだと自負している。

これはどういうことかというと、あとがきでも書いたのだがこういうことだ。

グローバリゼーションの時代には逆に人々にとって自分の拠点地域の重要性が増すようなところがある。それに伴い、ある地域報道が別の地域へも流通するようなことが増えると、『ローカル・ヒーーロー、グローバル・プレーヤー』のような人物が出てくるのではないかと考えている。

さらに自治体というのは、環境問題、文化、経済振興などなど、けっこう共通の課題や問題をかかえているものである。したがって他地域の具体的なニュースを知ることで、自分たちの地域はどうしているか、どうなっているか、ということを見直すきっかけになると思うからだ。

私の場合、エアランゲンの『住み込み地域記者』として取材し、京都の新聞にそれを流通させたわけだ。惜しむらくは一方通行で終わってしまった点だが、それにしても『インターローカル・ジャーナリズム』がある程度形になり、実は掲載紙を見るたびに心は欣喜雀躍。ヘタな全国メディアに書くよりもずっと嬉しかった。

いってみれば、こういう報道の流通は地域報道のグローバル化ともいえる。願わくば、インターローカル・ジャーナリズムがどういうふうに展開できるか、ということを実験をかねて続けたかったのだが、諸事情で継続がかなわなくなった。

ひそかな喜び
さて、新著の話にもどろう。

発売するやいなや、早くも購入していただいた方もおられ、その旨をメールで伝えて下さった方たちもおり、これは著者冥利につきる。

もっともうれしいのが『自分が住んでいる町は5万人ほど。市長にも読んでもらう』『私の住む地方のあり方を考える記述が多数ある』といった旨の感想をいくつか頂いたことだ。

この本はもちろん、全国の本屋さんで売っている。しかし、エアランゲンの話を、京都の出版社から出版し、自分住んでいる街のことを考えている読者の手にわたるという流れができた。

前述のようなメールをいただくと、本という媒体で『インターローカル・ジャーナリズム』が少し実現したかなとも思う。ひそかな喜びである。

そんな次第でどんどん、『インターローカル・ブック』になればなあ、と思っている。(了)


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