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 第5回 文化フェスティバルと地元紙


このほどエアランゲンで行われた文化フェスティバル『詩人の祭典』に関して、地元紙はかなりとりあげている。どういったかたちで新聞に掲載されているのかを数量的に見てみる。

多い記事
種類 件数 ページ換算
記事 51 12.1
情報 12 0.5
読者投稿 2 0.4
広告 4 1.2
合計 69 14.2
表:掲載内容とその分量
調査期間 7月23日〜9月9日
発行回数42回

※ページ換算は端数を四捨五入して算出しているので合計数とは完全にあいません
毎年エアランゲンでは『詩人の祭典』という文学フェスティバルが行われる。今年も8月23日から26日にかけて行われた。期間中はシンポジウム、展覧会、特別プログラムなど文学を切り口にしたさまざまな催しが組まれる。同時に地元紙、『エアランガー・ナハリヒテン』紙でもフェスティバルについて報じられるが、どういった内容のものが、どれぐらい紙面に掲載されるかを調べてみた。なお同紙はその名のとおり、エアランゲンの主流紙。発行部数は約3万部、サイズはタブロイド版だ。月曜から土曜日まで発行されている。

42回発行のうち24回になんらかの情報がある
調査対象にした期間はフェスティバル開始一ヶ月前の7月23日から終了後2週間後の9月9日まで。同紙は土曜発行分が日曜分とかねているため発行は42回発行。最初の関連記事が掲載されたのは7月25日。最終は9月6日である。

情報件数69件。うち記事が51件
42回発行のうち、なんらかのかたちでフェスティバルのことが掲載されたのは24回。8月にはいると格段に掲載日が増える。フェスティバル終了後一週間の掲載頻度も高い。調査対象期間中フェスティバルに関する件数は69件。14.2ページ分の分量になる。内わけは番組欄やチケット情報などを扱った『情報』、広告、読者からの手紙、そして一般記事といった形で掲載される。もっとも多いのは一般の記事で、その数は51本。ページ換算すると約12ページに相当する分量である。

0.1ページ 0.3ページ 0.5ページ
ページ換算した記事の大きさのイメージ
51本の記事のスタイルをみると、一般記事のスタイルが36件で最も多い。内容はフェスティバルについての事前記事、批評記事、フェスティバルにちなんだ周辺記事、レポート、写真記事である。また作家やアーティストに焦点をあてた記事は13件ある。そのうち4件がインタビュー記事だ。
ページ換算 記事本数
0.005以下 2
0.4〜0.5 2
0.5〜0.6 3
0.1〜0.15 4
0.25〜0.30 4
0.05〜0.1 7
0.3〜0.4 11
0.15〜0.25 18
合計 51
表:分量の別記事本数
0.15 〜0.25ページの記事が最も多い。

各記事の分量をみると、51本の記事のうちもっとも多いのが0.15〜0.25ページにあたる大きさの記事。ついで0.3〜0.4ページの記事が多い。またページの半分程度を占める(0.4〜0.6ページ)の記事が6本あるほか、『文化特集』のページ全面を複数の記事で埋められた日もある。

なお、一面には毎回朱色の囲みで『今日の注目記事』のサマリーが数本ある。いずれも10行以下の分量で最後は『本文は6ページ』といったように、本記事へつながる導入記事である。51本の記事の中には0.05ページ以下の記事が2件あるが。いずれも『今日の注目記事』である。

フェスティバルを盛り上げる編集
記事の件数を観察するとフェスティバルをより盛り上げるような編集がなされていることがわかる。フェスティバル期間中、8月23−25日にかけて6、7件の記事が掲載される。ページ換算でいうと、1.1〜1.44ページ分に相当する。記事件数のピークはフェスティバル終了後の翌日8月27日付けの新聞にに集中している (記事件数13件 2.6ページ分)。

3週前の土曜日から記事増えはじめる
8月にはいってから最初の土曜日(4日付)で5件の情報があり、合計約1.27ページに相当する。以降、ほぼ毎日、なんらかの情報が掲載され、週末にはその量が増える傾向がある。10日(金)付が2件(約0.68ページ)、18日(土)付になると4件(約0.86ページ)という具合である。週末は文化関係の記事をじっくり読むといった読者の行動が想定されたようなかたちだ。実際、土曜日付けの新聞はいつもの倍以上の分厚さがある。広告や求人、不動産の広告、内容的に雑誌を思わせるような読み物や数独、クロスワードパズルが掲載されているためだ。

またフェスティバルが始まる3日前から情報量が増える。3日間の合計は7件(約1.29ページ)。最も多いのは2日前の新聞(21日付)で、件数は3件だがページ換算すると約0.73ページに相当する。

エアランゲン・ローカルに記事が集中
区分 ページの種類 記事本数
広域
(ニュルンベルク地域、州、国内、国際)
一面 2
文化 11
文化特集 6
週末情報 1
合計 20
エアランゲン・
ローカル
一般 6
文化 17
文化特集 6
エアランゲン周辺/文化 2
合計 31
表:掲載ページの種類ごとの記事本数
エアランゲン・ローカルの文化ページの記事がもっとも多いが、一般エリアの文化ページでの掲載も多い。
同紙の構成は大きくわけると、エアランゲン・ローカルのページと広域(ニュルンベルク地域・州・国内・国際)のページに分かれる。

編集と発行の形態を少し述べると、『エアランガー・ナハリヒテン』紙はニュルンベルク市に本社をおく『ニュルンベルガー・プレッセ社』が発行しているが、同社はエアランゲン以外の他の近隣都市の地元紙を発行していて、広域(ニュルンベルク地域、州、国内、国際)のニュースは各紙共通の内容になっている。したがって、広域の文化欄に掲載された記事はニュルンベルガー・プレッセ社が発行する他紙にも掲載されるかたちだ。

フェスティバルに関する記事は、広域ページに20本。エアランゲン・ローカルに31本掲載されている。ローカルページ掲載分をみると、『ローカル文化欄』に掲載されるケースがもっとも多いが、一般記事としても掲載されているケースもある。エアランゲンにとって、フェスティバルは文化記事の対象になるだけではなく、一般の出来事としても記事かされていることがうかがえる。

専門記者が活躍
署名記事45本 記者数12名
51件の記事に対して署名記事は47本。署名から確認できる記者の数は12名だ。その中で5本以上記事を執筆している記者は3名。執筆本数最多の記者は19本書いている。この記者はエアランゲンの文化を専門にしている記者である。

ロゴ・写真 写真数52枚 カメラマンの数11名
記事にフェスティバルのロゴがつけられることがあり、フェスティバル関連の内容であることが一目でわかる。
フェスティバルのロゴを使用した記事があるがその数は24件。内モノクロが4件である。

紙面には記事などと一緒に写真が用いられているがその数は52枚。そのうち39枚がカラーである。写真には撮影者の署名があるが、11名カメラマンが取り組んでいるのがわかる。またそれ以外に通信社dpaでクレジットのものが1枚だけある。

※  ※

以上、一定期間内に発行されたエアランゲンの主流紙の中で文化フェスティバルに関する情報の分量、掲載方法、記事の種類をみてみた。その量は数量的にも多く、また周辺地域にも流通しているのがわかる。(つづく)
(2007年9月18日 高松 平藏)
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発      行 : インターローカルジャーナル
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発  行  人 : 高松平藏 
発  行  日 : 不定期

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