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─ ドイツにおける MANGA |
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【インタビュー】 後編 MANGA市場の変遷と未来 ゲオルグ・テンペルさん エグモントVGS出版事業 取締役パブリッシングディレクター |
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ドイツの市場 ■かつてコミックは子供向けのものという位置づけにありました。先ほどの話にもMANGAは親世代との区別のための道具になっているという分析をされていましたね。 『親がMANGAとはどういうものかを明確に把握していない。出版社へ親かの問い合わせが増えています』 『当社は年2回、各作品と対象年齢、少年向けか少女向けか、何巻まで出ているかといったことがひと目でわかる指標を書店に配布しています』 ■具体的にどうやって翻訳出版の作品をきめていますか 『ブックメッセへ行くと、フランスやアメリカの出版社は翻訳出版の提案を積極的にしてきます。ところが日本の出版社からはそういったアプローチがありません』 『したがって年2回、日本へ出向いて、本屋さんでマンガを山ほど買ってきます。私自身は日本語はできませんが、絵を見るとストーリーがある程度わかりますし、面白そうなものは2人学生、1人は日本人で、もう1人は日本語を勉強しているドイツ人なのですが、彼らに読んでもらってからきめています。』 ■作品の選択上、気をつけていることはありますか 『選択の条件としては2点。日本で売れているか、ということとテーマや内容ですね』 『当社はディズニーと深い関係があります。そのため「この出版社は子供が安心して読める」というイメージがある。ファン側から少年愛をテーマにした作品を出してほしいというリクエストもありますが、ポルノに近いセックスシーンがあるので、いくら要望があっても出版社としては出せない』 ■出版したものには微妙なものもあるのでは 『作者に了解の上、登場する女性の年齢を上げたり、絵そのものにも修正を加えることもあります。絵を修正する場合、まず、こちらで仮修正したものを日本へ送って了解をもらう。時には作者自身が手をいれてくれてくれることもあります』
次のMANGAブームへの布石 ■これからもMANGAの出版数が増えてきそうですね 『ドイツ国内で2006年は900タイトルほど出る見込みです。毎月80冊程度ですね。売れ行きはかなり差はありますが1タイトルにつき、2000-6000部程度。当社でよく売れている「名探偵コナン」は4-6万部売れています』 『また当社におけるコミックとMANGAの出版の割合はといえば70%がMANGAです。MANGAは大きな存在です』 ■最近、高級紙を発行している会社がコミックの愛蔵版を発行したり、カールセン社からは「はだしのゲン」「アドルフに告ぐ」といった、より内容の深い作品が出版される傾向が出ています。 『たとえばフランスではコミックが子供だけではなく大人もよむメディアとして認められているので、ドイツとはまったく状況が異なります。ドイツではコミックもMANGAも子供のメディア。そのため、実はドイツにおいてはたとえレベルの高いものであっても売りにくい。しかも大人向けの日本のマンガについてはセックス・マンガのイメージが強い』 『そんななか、なぜ(内容が深く)売りにくいものを出すかというと、今、12−13歳の読者が20歳、25歳になったときもMANGAを読むでしょう。そんなとき、引き続き質のよいマンガを読んでほしい。次のブームへの布石です』(了) |
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■■インターローカルニュース■■ 発 行 : インターローカルジャーナル http://www.interlocal.org/ 発 行 人 : 高松平藏 発 行 日 : 不定期 Copyright(C) Interlocal Journal |
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