■■インターローカル ニュース
■■ Interlocal News  2005-06-13 (vol. 118)

 

─ ひらけゴマ! 前号次号

 

□□ 目次 □□
【ニュース】 『オープン・ドア』 /エアランゲン小児・青少年クリニック 

【短  信】 規模増大、フランスのアニメとマンガ
【編集後記】 マンガによるオープン・ドアはいかが?

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【ニュース】

シリーズ 『オープン・ドア』
エアランゲン小児・青少年クリニック



 
夏になると、エアランゲンの街ではオープン・ドア・デーとして様々な施設や機関が開放する機会が増える。その多くがスタッフの手作りで、施設の機能や役割を説明する機会だ。市民にとっては市内の施設や機関がどのようなものかを知ることができる日である。今年のエアランゲンのオープン・ドアを順次レポートする。

 『はい、こっちを向いて、撮るわよ』。穴から顔を出して、手術用の衣服の袖に手を通し、外科医になったつもりになった子供がポーズをとる。ちょうど観光地によくある顔をはめこんで記念撮影をするたて看板のようなあんばいだ。ポラロイドカメラのフラッシュが光る。
"なりきり外科医”の写真撮影。子供に大人気。

 6月5日に行われた『オープン・デー』はエアランゲン市街にある小児・青少年クリニックで、エアランゲン大学病院のひとつ。もともと同大学の教授が自宅を病院として開放したのがはじまりで、1905年設立された。今年100周年記念の年で様々なシンポジウムなどが行われているほか、歴史や診療科目、活動状況などを書いた30ページあまりの小冊子も発行された。今回のオープン・ドアもその一環で、手術室や実験ブース、緊急医療用のスペースなどを開放し、スタッフが医療機器の展示と説明を行う。

 他方子供向けには手術用のマニピュレーター(マジックハンド)をつかって、チョコレートを箱に入れるゲームを行ったり、超音検査機で心臓を写しだしながら説明をするなど、訪問者に対して医療技術を知る機会と親しみがもてるような工夫がなされている。また敷地内では音楽演奏や飲食スペースも設けられた。

 病院のベッド数は135、そのうち26が集中治療室用。また1日だけの臨床用ベッドが別に14ある。循環器系や神経系、腎臓内科、未熟児や小児がんを対象にした診療科目などがあり、ドイツ国内でも高いレベルの病院だ。入院中の子供の訪問時間に制限がなく、また14歳以下の子供がお見舞いに訪問した場合、医師が必ず健康状態をチェックする。はしかなど他の子供に感染しやすい病気になっていないかどうかを確認するためだ。

 また患者やその家族向けのカウンセリングにカトリックとカソリックの神父も協力している。他方、治癒不可能な病気の終末期にある患者や家族のクォリティ・ オブ・ライフの向上のために市内のホスピスを専門にするNPOが協力している。(了)

(ドイツ在住ジャーナリスト/高松 平藏)

モニター(上写真)を見ながら手術用のマジックハンドをあやつる。
リンゴ、オレンジ、サクランボ・・・・点滴ジュースはいかが?
医療機器の展示と説明
こんなカラフルな帽子を着用したスタッフも。これもきちんとした医療用のもので、衛生面では問題がない。






【短信】
規模増大、フランスのアニメとマンガ




emex特約】 フランスでマンガとアニメの市場や生産の規模が増えている。emex(europe multimedia express)よりフランスのアニメとマンガに関する最近の記事2本をお送りする。なお『来月』などの日時を表す表記は発行当日のもの。

■フランスのアニメーションは健在
(2005年6月10日付)
フランスの国立アニメーションセンターCNCの調査によると、2004年にフランスで合計300時間のアニメーション番組が制作された。前年は208時間であった。番組制作にあたって、フランス企業が総額1億3,150万ユーロ(約172.2億円)を投資している。 この内、テレビ局による投資額は4,710万ユーロ(約61.7億円)(前年比:80%増加)。

また、フランスで制作されたアニメーションの40%が海外に輸出されている。


■ フランス全国「第一回マンガマツリ」
(2005年5月30日付)
フランスのSNE (Syndicat Nationale de l'Edition国立出版連合)とBD (bande dessinee/漫画出版社と漫画家、作家が5月28日〜6月4日、「第一回漫画祭り/1ere fete de la BD」を開催する。

今回の目的は、プロの漫画家と読者のリンクを強めることで、プロモーションとして以下のキャンペーンが行われる。

書店で800万冊のPost-it(付箋)を無料で配布。

1000件のサイン会を開催、

漫画を展示した臨時電車が以下の街を通過する。
 5月28日:Nantes
 5月29日: Lille
 5月30日: Dijon
 5月31日: Lyon
 6月1日: Grenoble
 6月2日: Clermont-Ferrand
 6月3日: Tours
 6月4日: Paris

フランス初のコスプレイベントの開催
この漫画祭は来年、ベルギー、スイスでも開催される予定。

フランスのマンガ市場データ
・ 2004年に、3,070タイトルが発行(前年比221.5% 増)。
・ 4,330万部が販売(前年比13.8増)。






【編集後記】 
マンガによるオープン・ドアはいかが?


◆先月、『復活させました』という一通のメールが届きました。数年前に取材させてもらったW.T.Aまちづくりセンター(“W.T.A”はウイリアム・テルズ・アップルの略/ 三重県伊賀市)の代表、中盛汀(なぎさ)さんからのもので、PDFファイルで送られてきた『なぎちゃん情報』でした。以前ファクスで配信されていたものですが、一時中断。このたびメールによる配信で復活したものです。ファクスで配信されていたときと同様、文章もすべて手書き。パソコンの普及とワープロ・ソフトの機能が充実していることから昨今、きれいにレイアウトされたものを個人でも配信できるようになりましたが、それだけに手書きというのは新鮮です。おまけに毎回4コママンガがついています。

◆私は『ドイツ発 わが輩は主夫である』というメルマガを別に発行しているのですが、このメルマガに最近、感想を送ってきてくださった方が徳島県の木頭村(現・那賀町木頭)というところで、村の農産物や地下水などの商品化したり、地域通貨の発行などを行う『株式会社きとうむら』 で働いているとのこと。同社のURLが併記してあったので早速をのぞいてみたところ、スタッフの様子がマンガで描かれているページがありました。

◆暖かくなってくると、ドイツでよく行われるのが『オープン・ドア』イベント。組織の『説明責任』『情報開示』といったことを分かりやすく行う機会でありますが、家族連れでも楽しめるものです。高度なパブリック・リレーションといえるでしょう。ひるがえって、先述のまちづくりセンターや株式会社きとうむらのマンガをみると、いずれのマンガもサクッと手馴れた感じの線で描かれており、スタッフの人柄や組織の活動状況などが伝わってきます。日本のパブリック・リレーションのように思えました。

◆マンガというのはひとコマに結構な情報量がこめられており、しかも視覚的に伝わりやすいという特性があります。マンガは組織の扉を開く?!(高松 平藏)



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発  行  人 : 高松平藏 
発  行  日 : 不定期

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