■■インターローカル ニュース |
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─ロサンゼルスとぶどう畑 | ≪前号|次号≫ | ||||||
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【ニュース】 ロサンゼルスから日本を見る 米NPOが関西の学生を対象に研修生募集 アメリカ・ロサンゼルス(カルフォニア州)のNPO『関西クラブ』(会長 若尾龍彦氏) は関西 出身、あるいは関西地区の大学に在籍する大学生および大学院生を対象にしたロサンゼル ス研修生 2 名を募集する。 この研修は 7 月下旬から 8 月上旬にかけてロサンゼルスへ研修生を招き、ホームステイ をしながら現地の人々とのディスカッションや企業訪問、各種施設の見学など 11 日間に渡っ ておこなわれる。選考にはエッセイ(小論文)コンテストをおこなう。なお今年のテーマは『「関 西の活力、創造力を高めるために」〜日本人の創造力を高める教育その他の改革案〜』。期 限は 6 月 15 日。募集の詳細は関西クラブのホームページで見ることができる。 研修生は研修終了後 1 ヶ月以内に研修リポートを提出するのが義務づけられており、ロサ ンゼルスと大阪で成果の発表会がおこなわれている。ちなみに過去2回の大阪の会場は大 阪産業大学の梅田サテライト教室でおこなわれた。 またホームページでは過去の研修生のエッセイや研修後の成果発表の様子なども読むこと ができる。たとえばアメリカの市議会の見学でうけた驚きとともに、日本の市議会との比較な どが行われるなど、外国から日本を見直す機会になっていることがうかがえる。 研修生を招聘する関西クラブはロサンゼルスに住む関西出身の日本人によって 1967 年に 設立されたNPO。親睦活動を主に行っているが、将来の関西を担う若者を育てようと 2003 年に同プログラムをはじめた。 若尾さんによると、同 NPO はカルフォニア州で正式に認められている法人であるため、寄付は課税控除となる。そのため近年クラブの預金残高が増加傾向に。理事会で『非営利組織 がもうけてどうするんだ』という声が浮上した。慈善団体などに寄付をするなどの意見も出た が、同氏が研修プログラムを提案した。仕事で日本各地の商工会議所を訪ねたとき、大阪の 経済地盤沈下が一番ひどく感じられたという経験があったからだ。 いずれは関西の大学関係者、商工会議所などの経済界、府・県や市などの行政関係者に 集まってもらってシンポジュームの開催なども視野にいれているという。(了) (ドイツ在住ジャーナリスト/高松 平藏) 【コラム】 ぶどう畑で“パワー・バケーション”はいかが?
人口 1,000 人ほどの小さな村、ヴィーゼンブロン(バイエルン州)はワインの産地。今年 2 月 この村のぶどう畑で慣れない手つきで枝を切る人々の一団があった。剪定の指導をしている のは人材コンサルティング会社“bb beratung und training” の代表バーバラ・ベッカー(=下写真)さんだ。 これは『in vino veritas(ワインの中に真実がある)』というワークショップの一環で、企業のマネ ジャーが対象。剪定のほかに議論やセミナーを行う。週末の2泊3日をかけて行うユニークな プログラムだ。 同氏はニュルンベルグで 1995 年に起業。その後拠点を故郷のこの村に移した。ワイン作り はベッカーさんの家の家業だ。このワークショップを思いついたのは、ぶどうの収穫時期に友 人を誘ったのがきっかけ。このとき、収穫までのプロセスを見てみたいというリクエストがでた 。収穫後は枝の剪定が必要になるが、再び友人を招待して、剪定の体験してもらった。友人 たちはぶどうの収穫には1年前から準備が必要だということがよくわかり、『自分の部下のよう だ』『会社のようだ』という感想を持った。つまり長期的な視野にたって仕掛けや準備をするこ とで成果が生まれるということとだぶったわけだ。これをヒントにベッカーさんはプログラムを作 った。 ワークショップでは作業の前に剪定する枝をまちがえると、1 年後の収穫量や質に影響があ ると参加者にきちん話す。この現実味によって今することが将来につながるという思考が参加 者の中に生まれ、単純に管理をするだけのマネジャーではなく、戦略思考を持つことにつなが るという。 ワークショップではそれぞれ職場での今後の自分のプランをつくってもらい、その後は継続 的にEメールをつかってコーチングを行う。剪定作業ではいちいち確認をとって切る人や、何も 考えずにどんどん切る人がいて性格がよくでる。これはアドバイスの方法に反映される。 他方、ワイン産業という観点からいえばワイナリーなどは観光資源という一面もあるが、ベッ カーさんの取り組みでぶどう畑の新しい付加価値が浮かび上がったかたちだ。『村の中で賛 成してくれる人も多い』(ベッカーさん)。この村はドイツの人々にとって休暇地を思わせる自然 環境だ。そこで実作業と議論をしたりセミナーをうける。とりわけ朝食を食べながら開かれる会 議“Power Breakfast”ならぬ “Power Vacation”という雰囲気も参加者にとって魅力になっている。(了) (ドイツ在住ジャーナリスト/高松 平藏)
日・EU サイバー社会とバーチャルリアリティに関する 伝統・文化振興フォーラム(仏)、開催 フランスのバーチャル実行委員会と日本の国際学生対抗バーチャルリアリティーコンテスト実行委員会は、2005 年 4 月 18 日と 19 日にフランスマイエンヌ県ラバル市において『第一回 日・EUサイバー社会とバーチャルリアリティに関する伝統・文化振興フォーラム』を開催する。 このフォーラムは、日・EU双方でのバーチャルリアリティやオーギュメンテッドリアリティの技術 を用いた文化や伝統の振興をテーマに、相互理解や人的交流を深めることを目的としている 。 詳しい情報は、http://www.laval-virtual.org/conf/eujapanforum2005.php 【emex特約】 2005年4月11日付 『emex (europe multimedia express)』より転載 【編集後記】 気 付 き ◆なんらかの気付きがあったとき、人は充実感や『先に進めそう』という希望を持ちます。気 付きとは、これまで自分が持っていたものとは違う視点を見出したり、何かと何かを関連付け ることができたときです。 ◆ロサンゼルスの研修は、まさに外から日本を見てみるという気付きを得る機会といえるでし ょう。私の実感としてもドイツに住み始めてから、日本の見方は随分かわりました。若尾さん のアイデアもそんなご自身の体験から出てきたのではと思います。余談ですが、日本のNPO をめぐる議論で、税制と寄付の関係についてよくアメリカの例が登場しますが、関西クラブの例 はまさに『寄付のしやすいシステム』によって実現しているのがうかがえます。 ◆ぶどうの枝の剪定をヒントに研修のプログラムをつくってしまったベッカーさんもユニークです 。取材をしながら感じたことは、同氏がいろんなことを関連付けていく能力が長けているように 思いました。感性がするどいのでしょう。取材も楽しいでした。 ◆気付きを促進させるひとつの手法が最近はやりの『コーチング』なのでしょう。一方的に教 えたりアドバイスをするのではなく、本人の気付き、すなわち、選択肢をふやしたり、別の角度 からの発想をひきだす手法で、しかも最終判断は自分でおこなう。そういうものだと私は理解 しています。そもそも質の高い議論というのは、お互い脳を刺激しあい、相互の気付きが重な っていくものですが、コーチングもそういった対話をすすめることを意図的に考えられたものな のでしょう。 ◆報道の役割はいろいろいわれますが、私は記事を読んで下さる方にひらめきとか気付きを 提供するのが仕事だと任じています。『うん、なるほど』『そういう考え方があったか』などなど 膝をたたいてもらえるようなことがあると最高ですね。 ◆最後にお知らせ。私も執筆しておりました京都経済新聞社発行の『週刊京都経済』が廃刊 に!いえ、大胆にも再創刊という経営判断を行い、現在9月の再創刊準備中です。リニューア ルとか紙面改革ではなく、『再創刊』というところがミソ。その過程をブログでもごらんいただけ ます。ぜひのぞいてみてください。 (高松 平藏) |
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■■インターローカルニュース■■ 発 行 : インターローカルジャーナル http://www.interlocal.org/ 発 行 人 : 高松平藏 発 行 日 : 不定期 Copyright(C) Interlocal Journal |
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