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─森とナノテクと教育 | ≪前号|次号≫ | ||||||
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【ニュース】 森のエデュテインメント 赤ずきんちゃんやヘンゼルとグレーテルといった童話の舞台は森。ドイツの人にとって森は身近な存在だ。
同センターはその名のとおり森の一角に作られたもので 1975 年に『森のミュージアム』としてオープンした。5,306 平方メートルの広さの敷地内にはいくつかのログハウスがある。ここではイノシシや狐などの動物の毛皮を実際に触ることができるなど森の動植物の生態がわかる展示や植林の道具などが常設してある。また、ワークショップなども定期的に行われており、1 年で 25,000 人( 2003 年)が同センターを訪ねる。エアランゲン市はもとより隣接するフュルト市やニュルンベルグの小学校からも子供たちが定期的にやってくる。 数字でみると、日本は国土の約 67 %が森林だが、ドイツは約 30 %。圧倒的に日本のほうが森林率は高い。しかしドイツの場合、都市部と隣接するように広がっているのが特徴だ。エアランゲン市でも 40 %(約 337 平方キロ)が森で、市街地を取り囲むように広がっている。そのため普段から通学、通勤の道にもなっている。土日や祝日ともなれば家族で散歩する人の姿もかなり見られる。
ワーグナーさんは『展示やイベントを毎年新しく行い、センターの魅力を維持したい。何度訪れても何か新しい発見がある。私はこれが重要なことだと信じています』という。この日、3000 人から 4000 人が訪れた。(了) (ドイツ在住ジャーナリスト/高松 平藏) 2004年9月20日付 『週刊京都経済』掲載分 【ニュース】 ナノ・ トラックが行く 10 トン車級の大型トラック(全長 16.50 m、幅 2.55 m)がナノ ( 1 mm の100 万分の 1 )の世界を積んでドイツ国内を走っている。 このトラックはナノテクノロジーの説明をするための展示ブースになった『ナノ・トラック』。停車して展示をするときには幅が 4.5 mにまで膨らむ。ナノ・テクノロジーとは近年日本でも注目されている技術で、原子や分子レベルでの操作・制御する極小の世界だ。医療、化学、IT、環境技術、素材など応用範囲が広い。今世紀の重要な技術だ。 今年ドイツは『科学年』だ。 このナノ・トラックはその一環のプロジェクトで、教育と研究連邦省のグループ『科学対話』によって発案された。トラックにはパネルの展示や実際に手にとって技術を理解するモデル、マルチメディア設備などがおかれている。ナノ技術の基本、用途、将来性を紹介する。さらに説明をするための専門家がついているため、きちんと訪問者の質問に対して答えることができる(=写真)。一般の人々が科学に親しめるようにすることを支援するのも目的だ。 ナノ・トラックのツアーは今年 1 月からスタート。たとえば、7 月にはバイエルン州ニュルンベルグ市(人口 50 万人)にやってきた。街の中央広場でハイテクに関する見本市イベントが行われたときに、ナノテクトラックも横付けされ 1 日で5,000 人が訪ねた。その数日後、同市に隣接するエアランゲン市(人口 10 万人)にもトラックはやってきた。技術の説明を行うサンドラ・キプケ博士によるとあらかじめ、同市内の学校などにも案内状を送付しているという。エアランゲン市では 1,500人の人々がやってきた。ちなみに最初の 3 ヵ月で 35,000 人が訪問している。 ところで、東西ドイツの統一は事実上、旧西ドイツの吸収合併だった。これを機に国内の経済、社会保障制度にひびがはいりはじめた。原因こそ違うが、日本とよく似た症状をおこしている。それに対して現在、社会保障を中心に『アジェンダ 2010 』という改革を行っているが、積極的な改革として技術力の強化に焦点を当てている。政界、学会、財界、労働組合、経営者団体らで、イノベーションのための連携を行ったり、大学や研究機関の組織・制度改革に躍起になっている。今回の『科学年』やナノ・トラックプロジェクトはこうしたことが背景になっている。 またドイツ国内を地域別にみても、技術力のある地域ほど将来に向けての競争力を持っているという調査結果もある。(了) (ドイツ在住ジャーナリスト/高松 平藏) 2004年9月27日付 『週刊京都経済』掲載分 【編集後記】 公開とコミュニケーション ◆ドイツは見本市が盛んな国としても知られていますが、見本市では出展者が自分たちのことを公開して訪問者とのコミュニケーションを図るということが行われます。もう少し主催者側からの視点でいえば、同様の分野を集めて、整理して、並べるということが行われています。たとえばIT関連の見本市でも、モバイル関連、DTP などという具合にコーナーをわけます。 ◆こんなこと訪問者のことを考えると当然じゃないか、と思われますが、見本市のみならず、いろいろなところで同様の考え方を垣間見ます。整理して、並べて公開するという行為の最たるものはミュージアムでしょう。『森の体験センター』のつくりなどもその典型です。もっともこのミュージアムもそうですが、近年、『体験』もひとつの大切な要素として加わってきました。 ◆ナノ・トラックなどは移動式の見本市ブースのようなものです。目的は科学教育の底上げという国家的プロジェクトですが、こうしたスタイルは『環境トラック』『ソーラーエネルギー・トラック』という形ででもあります。 ◆何度も書いたり、話したりしているのですが、政治もそうです。選挙前になると街の広場で各政党がパラソルやテントでブースをつくります。広場にひろがる『政党見本市』ですね。そしてこちらでも訪問者が資料を求めたり、直接コミュニケーション(議論)ができるわけです。 ◆劇場や消防署、企業などの組織もそうです。時々オープンドア・イベントを行いますが、これなどは組織の建物そのものを見本市ブースにしてしまうやり方に見えます。 ◆何事も分類し、定義を明らかにしていく思考はまさに、啓蒙主義の時代に生まれた『百科全集』などにそのルーツを見ることができますが、現代の社会にも息づき、教育や啓発、説明責任といったことにつながっているようです。 ◆いつぞや子供たちが通う幼稚園で行われた夏祭り、子供の作品を展示したり、父兄が自らの職能を披露し、散髪やパン作りを行っていました。これなども気のせいか見本市に見えてくるのでありました。私ですか? 私は取材用のカメラでずいぶん写真をとり、後日CDに焼いて幼稚園にプレゼントしました。いちおう職能かな?(高松平藏) |
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■■インターローカルニュース■■ 発 行 : インターローカルジャーナル http://www.interlocal.org/ 発 行 人 : 高松平藏 発 行 日 : 不定期 Copyright(C) Interlocal Journal |
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