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■■ Interlocal News 2004-06-03 (vol. 100)

 

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□□ 目次 □□
【ニュース】 NPO、地域で実力発揮できるか?

【編集後記】 100回目の発行、 ITのありがたさ

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【ニュース】
NPO、地域で実力発揮できるか?

 埼玉県に食い込むようなかたちの東京都清瀬市(人口約 6 万 8,000 人)。ここに住む嵯峨創平さん
(=写真)は昨年、NPO 『環境文化のための対話研究所』を設立した。

 事務所は自宅の一室だ。もともと都市開発のシンクタンクに勤務していたが 95 年に退社。『大所高所からみる地域開発には違和感があった』という。ただ直属の上司には恵まれた。現場主義で地域社会に焦点をあわせる人で、嵯峨さんにとって“師匠”だった。またこの時にできた人脈も大きな財産になった。

 シンクタンクを退職したあとに清瀬市に家族で引っ越してきた。フリーになった嵯峨さんはその後も地域のまちづくりや環境学習、博物館に関するプランニングなどで全国を飛び回った。『どこまで現場でコミットできるか』ということが課題だったが、どうしても一過性の仕事になりがち。満足できない自分がいた。

 一方、家族とともに住む清瀬市の地域活動にボランティアベースで参加もはじめた。2003 年の 1 月に市民の活動を支援する『市民活動センター』が生まれたが、その 2 年前から準備委員会に加わった。

 地域活動を実際に支えているのは女性と高齢者。準備委員会で展開される議論は横道にそれることもあるし、堂々巡りになることもある。まちづくりの『プロ』である嵯峨さんも昔から同市に住んでいる人の中ではよそ者だ。前に出るよりも、ひたすら平易な言葉で、随時、交通整理をするにとどめた。

 『どうしても専門的な言葉が必要なときはその道の専門家を招いた。私の代わりに語ってもらうようなもの』と嵯峨さんは笑う。

 こうした市民活動にはあくまでも個人としてボランティアで参加する同氏だが、今後は NPO 法人の仕事として参加することも考えている。具体的には『児童センター』の設立に加わるつもりだ。

 しかし、子供の劇場鑑賞の団体など既存組織がある。嵯峨さんの NPO は『新規参入者』。しかも仕事としてはそれほどの『カネ』になる見込みもない。新規参入しても苦労が多そうだ。

 だが、ここに嵯峨さんのシンクタンク時代からの問題意識が働いている。『NPOにいくら企画立案能力などの実力があっても地域の中で受け入れられ、支持される存在にならなければ本領発揮は難しい』(同氏)。地域にとけこんでいくためのノウハウや勘所を蓄積していくのが嵯峨さんのねらいだ。(了)

※筆者の一時帰国の時に行われた取材がもとになっています。




IDEC(環境文化のための対話研究所)


(『週刊京都経済』 2004年3月15日付に掲載)






【編集後記】
 
100回目の発行、 ITのありがたさ

◆今回でついに、といいますか、やっとといいますか100回目の発行ができました。創刊は2000年12月。気まぐれとしかいいようのない頻度で発行しているため、100号をかぞえるまでずいぶんかかりました。配信数は今のところ約1000件。そのうち当方から独自配信させていただいている方が500件あまりです。

◆私がドイツに住み始めたころ、飛行機はシベリア上空を飛ぶようになって久しく、日本とドイツはだいたい10時間あまり。そしてノートパソコンが実用化していました。おそらく、昔は外国に住むといえば、本当に遠い異国に住んでいるように感じたのだと思います。しかし今はメールがごく普通に使われる時代です。日本との精神的な距離感はかなり短く感じられます。

◆それから私のようなフリーランスの人間にとってITのよさは写真やテキストを瞬時にかなりのローコストで日本へ送れることです。以前、大手新聞社が使っていた原稿を送る機械をみたことがありますが、冷蔵庫ぐらいの大きさです。個人が購入できるようなしろものではありません。

◆さて、今週末から1週間ほど家族とともにイタリアで過ごします。パソコンも持たず、ひたすら『なにもしない』という贅沢な時間を望みたいもののですが、どれぐらい子供たちがのんびりさせてくれるかが問題であります。

◆結婚以来、1ヶ月程度妻とはなればなれになったことが2,3度あります。しかしノートパソコンを1週間も手放すことは今回がはじめて。ITも便利ですが、それゆえつい携帯してしまうのがタマにキズ。とにもかくにも、そんな次第でしばらくメールを頂いてもお返事をさしあげられません。あしからず。では、いってきます。(高松平藏)



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発      行 : インターローカルジャーナル
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発  行  人 : 高松平藏 
発  行  日 : 不定期

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