■■インターローカル ニュース
■■ Interlocal News 2004-04-08 (vol. 95)

 

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□□ 目次 □□
【コラム】 ドイツ人はただの議論好きか?

【ニュース】 地元のプロバイダーが犯罪被害防止のレクチャー
【編集後記】 ドイツの桜

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【ニュース】
ドイツ人はただの議論好きか?


一人称と二人称が言語的に明確なのも対話につながりやすいのかもしれない。(写真は記事本文と関係ありません)

 『ドイツ人は理屈っぽく、議論好き』。そんなイメージがある。そして、ドイツの人たちも自認しているようなところがある。そうした傾向は言語の特性など、いろいろな理由は求められるが、教育の現場でも議論ができることが重要とされているのも確かだ。

 それはまず、家庭ではじまる。例えば、夫婦が話しをしている。子供が『ママ』と話かけてきても、それをさえぎる。『パパとの話が終わってから話しなさい』。そして夫との話が終わってから、子供のほうを向いて、『何の話なの?』と改めて話をきく。あくまでも一対一、対になって話をする『対話』が基本だ。子供もそれを承知しており『私はあなたに話したいことがある』と『対話』の予約をすることをすこしづつ覚えていく。

 幼稚園ではイスを円形にして話あう機会がつくられる。『おもちゃのない時間』という 2 ヶ月にわたるプログラムでは、教室からおもちゃを地下室などへなおしてしまう。まず、どのおもちゃから教室から追い出すか、2 週間かけて子供たちは話し合う。それから、おもちゃを教室へ戻すときもやはり 2 週間かけて話あう。気に入ったおもちゃは子供によってちがう。だからこそ話し合いのプロセスが生きる。

 学校でも議論を促進する。中等教育相当の学校で教壇にたつエルケ・ブッカーさんによると、まず 11 歳の学年でドイツ語の時間に『学習のための学習』を行うという。その中で議論のすすめかたを学ぶ。相手の顔を見る。相手の話をきいてから自分の話をする。自分の言いたいことを整理してから発言する。一番重要なことを最後にもってくるといった基本ルールを学ぶ。『会話』ではなく、個人が他の個人と『対話』をしていく技術に磨きがかかる。

 ところで、日本は 100 年前にプロイセンなどの西洋からモダニズムを輸入した。戦前は富国強兵、戦後は経済大国という目的に向けてうまく活用したが、対話技術については輸入し忘れたようだ。

 たとえば、会議の類では発言が皆無、あるいは参加者が好き勝手に言いっぱなしになることが多い。1 月 29 日付け小泉内閣メールマガジンに川本裕子さん(マッキンゼー・シニアエクスパート、金融審議会委員、金融庁タスクフォースメンバー)による『審議会の構造改革』と題した寄稿文があった。同氏が参加した政府の委員会ではメンバーの『言いっぱなし』が審議の効率を下げていると指摘。議長の許可を得てから発言するというルールが自然にできるまで1年かかったという。『日本の政治は三流』と揶揄(やゆ)されることがあるが、一流にならない理由は対話技術の稚拙さにある(了)

(”週刊京都経済” 2004年2月16日付掲載)





【ニュース】
地元のプロバイダーが犯罪被害防止のレクチャー



同プロバイダーの利用者に届くスパムメールには、件名のところに「スパムメールの可能性あり」の表示がつけられる。

 新技術に慎重な傾向があるのがドイツ。インターネットの普及も日本より一足遅れの観があったが、1,000 人のうち 424 人がインターネットにつなぐようになった(2002 年)。それに伴いコンピューターを使った犯罪も増加。ドイツ南部エアランゲン(人口 10 万人、バイエルン州)で、このほど地元のプロバイダーがコンピューター犯罪やその被害防止のためのレクチャーを行った。

 会場は市の中心地にある『マルチメディア・センター』。レクチャーを行ったのは同市に隣接するニュルンベルグ市『刑事警察』のコンピューター犯罪を扱う部署の 2人。97 年に設置され、同様の部署はバイエルン州内で 22 箇所ある。

 コンピューターを犯罪の道具に使った例としてプリンターを使った電車の乗車券の改ざんや米軍の ID カードを偽造して米軍専用の免税店で物品を購入した例などが紹介された。悪質なものには偽札を高性能のプリンターと特殊紙でつくる例もある。銀行も見破れなかったという。

 またネット特有のスパムメールやウイルスの説明、そしてその対策にアンチ・ウイルスソフトの使用を勧めた。ほかにはネット・サーフィンの途中である画像をクリックしたとたん、気づかないうちに有料電話回線につながるという被害もある。

 83 年に公開された映画『ウォー・ゲーム』は少年のハッキングで核戦争の危機に陥るお話だが、これを模してワイヤレス LAN にアクセスする愉快犯もあり、『ウォー・ドライバー』『ウォー・ジョーカー』などと呼ばれている。ニュルンベルグ市内では侵入されやすいワイヤレス LAN のエリアが多いという。

 先ごろ発表されたエアランゲン周辺5都市『中央フランケン地方』(合計人口 160万人)の警察の統計によると 2003 年は 1,172 件のコンピューター犯罪があった。日本で目立つ出会い系がひきおこすような犯罪は少ないようだが、クレジットカードのデータ盗難、オークションサイトでの詐欺などが増えている。

 ところで、レクチャーの参加者は約 40 人。高齢者の姿が多く見られ、消化不良気味のようだったが、『とにかくインターネットを使うときは気をつけなければならないということは理解した』( 70 代男性)との声もきかれた。レクチャーを主催したプロバイダーは 96 年にエアランゲンで創設された FEN ( Free-Net Erlangen-Nuernberg-Fuerth e.V.)。NPO や協会に相当する非営利組織で 1 万人の利用者がいる。(了)

(”週刊京都経済” 2004年4月5日付掲載)






【編集後記】
 
ドイツの桜

◆3 月の最終日曜日の夜から時計を1時間早める『サマータイム』になりました。日本との時差が 8 時間遅れから7時間遅れになりました。

◆この頃から少しづつお天気が続き、4 月の最初の日曜日はエアランゲンで『春祭り』が。街の広場ではビールなどの屋台が出て、フォークダンス(まさに直訳どおりの民族ダンス)やフォーク・ミュージックなどが演奏されました。エアランゲン在住のトルコ人女性たちによるフォークダンスも登場。拍手喝さい。定住外国人の存在が自然になじんでいるのを感じる瞬間です。

◆お天気がよくなったので、我が家もベランダで夕食をとることもあります。ただ、ドイツの 4 月のお天気は実に気まぐれ。晴れたかと思えば、シャワーのような雨がふることがしばしばです。20 キロほど離れた隣のニュルンベルグへ行った昨日はまるで猫の目。どしゃぶりの雨に雹(ひょう)、まぶしいばかりの晴天とサングラスをかけたりはずしたり、暖房を強めたりゆるめたり、典型的な 4 月のお天気でした。

◆今週末はイースターで連休。早々に休暇をとっている人も多く、朝のせわしさが緩んでいます。今度の日曜日は家族とともに妻の実家へ行く予定です。庭に隠してある卵のかたちのチョコレートやイースターのプレゼントを探すのが子供たちの恒例行事。3 月末にはイースター用の飾りを居間につくりました。桜の枝を花瓶にいれて、枝に卵やウサギのかざりをぶらさげたものです。

◆日本では桜がすでに終わりになりかかっているとか。3 月末にはこのときはまだまだつぼみだったイースター飾りの桜ですが、最近、ポツポツと開花してきました。日本のものより少し濃いピンクでいまひとつ『桜』という実感がわかないのですが、イースターとともに訪れるドイツの春でした。(高松平藏)



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発  行  人 : 高松平藏 
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