2006年10月16日
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京都らしい会社の京都らしいお家騒動
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京都の会社のお家騒動の記事を読んだ。決してかっこうのいいことではないのだが、いかにも京都らしさを感じたので所感を書いておきたい。
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京都に一澤帆布工業株式会社というカバン屋さんがある。赤い糸で囲ったタグに『京都市東山知恩院前上ル
一澤帆布製』と書かれているのが特徴だ。素材もつくりも頑丈で、職人ご用達の実用性をブランドまで高めた。
この一澤帆布、相続をめぐる争いで分裂したとの報道を読んだ。代表取締役社長の一澤信三郎氏(三男)が解任され、一澤信太郎氏(長男)が就任。信三郎氏は『株式会社一澤信三郎帆布』を設立した。しかも『一澤帆布工業株式会社』のすぐ近くに開店したというから、時代劇にでも出てきそうな相続争いである。
私はこのカバンを特に愛用したわけではないが、同社の目の届く範囲で製造・販売する、という基本的な考え方は京都らしく、それがブランドとしての信頼性になっているあたりを好ましく見ている。それだけにこの一件がブランドにどう影響していくのか気になる。
報道を見る限り、この一件、お家騒動であるわけだが、京都の会社は『●●社』というより『○○はんとこ』というふうに社名より経営者の顔が前にくる企業文化がある。たとえば私が仮に京都で『エアランゲン株式会社』を設立しても、『たかまっつぁんとこ』と呼ばれるわけである。
一澤帆布工業株式会社の職人・スタッフはすべて退社し、信三郎氏についたことから、同氏は信頼が集まっているようだ。仕入先なども信三郎氏に追随している。京都の財界人なども同氏を支持している模様だ。
おそらく、信三郎氏が一澤帆布工業の社長のときには『信三郎はんとこ』と呼ばれたいたのかと想像する。その信三郎はんが新しい会社つくらはったという認識が強いのではないか。
いずれにせよ、ブランドの作り方も京都らしいが、お家騒動の様子も京都らしい。
数年前に妹が長女に同社のカバンをプレゼントとしてくれた。そのためドイツでも長女が時々使っている。(了) |
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