■■インターローカル ニュース
■■ Interlocal News  2005-09-02 (vol. 121 特別編)

 

パネル・ディスカッション『家族ー終わりに向かっている?』  2/3 戻る次へ

 

議論の内容
・『家族』に将来はある
・安心空間としての家族

・社会的背景が少子化に?

・歴史的記憶が影響している
・メンタリティの問題

・核家族対策に注力すべき
・政府は何でもできるわけではない
・新しい問題ではない
・パネラーからのメッセージ
社会的背景が少子化に?
アウファーマン:女性運動は女性に対してい社会進出の可能性などいろいろなものを提供した。いいことにつながったことがたくさんあると思うのですが、一方で女性は子供がいらない、生まないということもあるのではないでしょうか。

シュミット:女性運動を単純化してほしくはないですね。調査によると、どうして子供を生まない、つくらないのかという一番の理由は適当な相手がいないということです。オランダ、フランス、ノルウエー、フィンランドでも女性運動は活発だったし、女性のレベルも高くなっている。しかしいずれもドイツより出生率が高い。どうしてドイツはうまくいかないのでしょうか。

ファンダーベケ:私は1993年にフランスに引越しました。最初の本は朝の8時半から11時半のあいだに書いていた。引越した当初、パラダイスにきたという印象があった。
 なぜなら、まず子供が一日中学校に行っている。3歳から子供が預けられる状態になっています。息子は決して学校が大好きというわけではないですが、もし、もう一度行くとしたら、ドイツよりもフランスの学校に行きたがっている。フランスでは女性が子供を育てながら仕事ができる。子供は子供と遊びたいし、仕事がしたくて仕方がないお母さんと半日家に閉じ込められるのはいやがっている。

ガイナー:私も自分の小説の中に家族をとりあげている。家族がこわれていくとか、『パッチワーク家族』『シングルの親の家族』などといわれるが、歴史をみると常に同じパターンではないが、つまり、常に家族に関する問題があったのではないだろうか。
 本を書いているあいだに、『20世紀』が私たちに思った以上に影響を与えていると考えた。

歴史的記憶が影響している
アウファーマン:子供の日常はどう見ていますか?(子供にとって)落ち着く場所、守ってくれる場所がありますか?

メナセ:ベルリンは子供の預ける場所がたくさんあります。(しかし)出生率が低いのは社会的な問題。もしかすると、歴史が影響しているのではないでしょうか。つまりヒットラー時代に子供をたくさん生むことを奨励し、それに強く影響されたお母さんがたくさんいた。そういった歴史的な記憶が強くあるのではないでしょうか。
なにしろベルリンは子供の面倒をみるところはたくさんありますが、他の地域では足りないとのこと。そういう場所をたくさんつくらなければ出生率は高くならない。

シュミット:ある調査によるとファシストの歴史がある国では出生率が低い。女性が働いている率が他の国より低いという調査結果がある。
 スペイン、イタリア、ギリシャ、日本、ドイツの5カ国が歴史的にファシストの歴史があり、皆出生率が低い。まだアタマの中にファシズム時代の体験が残っている。

アウファーマン:しかし戦争後は子供がたくさん生まれたのではないですか?

トライッヒェル:私の祖父母は13人、親は4人、私は0。無意識的にイデオロギーが残っています。国がほかの生活パターンを認めることが欲しい。たとえば共同生活や同性の生活など違うパターンを認めて欲しいですね。


メンタリティの問題
トライッヒェル:そういう理由から出生率を語ることはメンタリティ、歴史の観点から語る問題です。したがってお金とか施設の場所ではなく、頭の中の問題というわけです。男性もまた、なぜ子供を欲しがらないのかという問題を提起せねばなりません。

シュミット:確かにそういう原因についてはまだあまり知らない。調査はいつも女性がなぜ子供をつくらないのかという方向で調べている。男性側の理由はあまり調べていない。ひとつの理由は男性にとって、55歳になってもまだ子供がつくれる。だから、『私はまだつくっていない』という意識があるだけではないか。

それから、なぜ男性が子供を作らないのかというと、女多くの女性が(出産などで)長いあいだ仕事をしない時期がある。そうすると家族の財産関係の責任が男性に残る。また自分の生活パターンを変えるのは女性よりもしにくい。

ドイツ語圏には『カラスのお母さん(Rabenmutter)』という言葉があります。(これは子供の面倒をみない、子供をあずけっぱなしにするといった意味ですが)他の国にはそういう言葉はありません。あまりにもよくこの言葉が使われるので、実際にからすの生態を調べたことがあります。実はカラスはずっと結婚生活を送っており、両親が子供のためのえさを探したり、飛ぶことを教えたり、しかも両方の親が行います。そしてカラスの子供が成長したとたん子供は巣には戻れません。(理想の親ではないでしょうか?)

メナセ:自分の世代の男性はおむつを換えたり、子供の体を洗うといったことをしており、子供との生活をこわがっていない。自分のまわりの父親はがんばってやっていますよ。
 しかし、男性も女性も子供の教育がものすごく難しいものとして考えています。つまり、普通の人では教えることはできないという心配がでてくる。
 たとえば友達である、あるお母さんは子供用の料理本をたくさんもっています。

パネラー
フェレナ・アウファーマン
モデレーター・女性
レナテ・シュミット
家族・高齢者・女性と若者のための大臣・女性

ビルギッテ・ファンダーベケ
作家・女性 子供1人

アルノ・ガイナー
作家・男性、子供なし 1968年生まれ

ハンス−ウルリッヒ・トライッヒェル
作家・男性、子供なし 1972年生まれ

エファ・メナセ
作家・女性 発言からは子供がいることをほのめかしているが、自分の子供かどうかは不明
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発  行  人 : 高松平藏 
発  行  日 : 不定期

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