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■■ Interlocal News 2004-02-20 (vol. 91)

 

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□□ 目次 □□
【ニュース】 ドイツも頑張ってます。天然ガス・スタンドがまたひとつ

【ニュース】 日本の共用品、ドイツへ
【編集後記】 日本 VS ドイツ さて… 

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【ニュース】
ドイツも頑張ってます。
天然ガス・スタンドがまたひとつ


左から荻野正直(石和町町長)、ノベルト・ショーン(インフラ会社シュタットベルク・タウバーフランケン)、ローター・バート(バード・メルゲントハイム市長)の3氏
 ドイツ南西部のバーデン・ヴュルテンベルク州(人口 1,040 万人)で 45 番目の新しい天然ガス・スタンドができた。同州はガス・スタンドの数では国内トップクラスにはいるという。

 10 月 23 日、同州に位置するバード・メルゲントハイム市内のガソリンスタンドに天然ガス車用の設備がわった。マインタウバークライスと呼ばれる同市周辺地域では、一般の天然ガス車ユーザー向けのスタンドとしては初のもの。

 『お披露目』には地元の報道陣のほかに同市市長ローター・バート氏、ガソリンタンクのオーナー、シュレイダー夫妻、同地域に飲料水や電気、ガスを供給しているインフラ会社、シュタットベルク・タウバーフランケンのノベルト・ショーン氏らが顔をならべた。なお、この日は同市の姉妹都市・山梨県石和町の友好使節団が訪問しており、セレモニーに荻野正直町長も参加した。

 さて、近年世界的に石油以外のエネルギーに切り替えていこうという動きがあるが、天然ガスはその有力候補。油田からの汲み上げや複雑な精製工程がいらないため、安全性、経済面で優れている。また、ガソリン車やディーゼル車にくらべて、有害物質の排出もかなり少ない。税金もほとんどかかっていないので、末端価格ではガソリンに比べると 40%程度安い。

 課題はユーザーの増加。IANGV (International Association for Natural Gas Vehicles) によると、欧州ではイタリアがトップ。43 万 4,000 台の天然ガス車が走る(ガス・スタンドは 414 )。それに対してドイツは 1 万 5,000 台、ガス・スタンドは 360。世界でも屈指の埋蔵量をほこるロシアとのパイプラインを強化するなど、供給源の確保は手堅くおこなっているが、交通インフラとしてはまだまだこれから。

 ドイツの場合、アウトバーンにみられるように自動車用の交通インフラが充実しているため、ドイツでは長距離運転になることが多い。オペルなどは 500 キロ程度の走行距離を確保するためにガソリンと併用するタイプの車両も市場に投入しているが、ガス自動車の普及は容易ではない。

 一方、ガス自動車の普及をすすめるべく、インフラ会社のシュタットベルク・タウバーフランケンは、ガス自動車を購入した場合、走行距離 1 万km相当のガスを補助したり、『天然ガス車』とわかるステッカーをはるとさらに 1 万 5,000 km分のガスを提供するなどユーザーの拡大に力をいれている。

 ちなみに、日本では約 1 万 6,600 台の天然ガス車が走り、224 のガス・スタンドがある。ドイツと同程度の普及率だ。(了)

(『週刊京都経済』 2003年11月17日付 掲載)





【ニュース】
 
日本の共用品、ドイツへ


 ドイツ・デュッセルドルフで行われた見本市、REHACare 2003(国際リハビリテーション。介護機器展)に今年はじめて日本からの出展があった。

 同見本市に出展したのは財団法人共用推進機構。バリアフリー社会の実現を目的に91 年に企業人やデザイナー、主婦、学生、障害者などによって立ち上げられ、99 年に財団法人になった。具体的には共用品・共用サービスの標準化の推進や啓発、調査などを行っている。

 ちなみに共用品・共用サービスというのは身体的な特性や障害のあるなしにかかわらず、誰でも利用しやすい製品や施設、サービスのことをさす。例えば、缶ビールの飲み口の横にはアルコール飲料であることを示す点字がある。缶ビールそのものは福祉用品でもなんでもないが、点字があることで、目の不自由な人にとってもぐっと扱いやすくなる。これが共用品の一例だ。

 同財団総務課長の森川美和さんによると、今回の出展はドイツおよび近隣諸国に共用品という考え方や共用品と類似した製品はあるのか、またこの考え方は受け入れられるのかという事を知るのが目的だ。ブースには32点の共用品を展示。のべ約 500人が訪ねた。

 アンケートも実施した。共用品という考え方に対し 9 割以上の人に理解を得られた。意外にもアルコール飲料の点字など共用品の代表的な例は北欧やフランス、オーストリアといった国々の人は知っていたが、ドイツ在住の人々からは共用品を見たこともないという声も多かった。

 さて、メッセ会場を見ると日独の微妙な違いもある。『ドイツは若い仲間同士や親子、夫婦などが多く若年齢層の参加が目立つ。日本では、大学生以上の来場は多く、それ以下の場合は、学校の授業の一環として参加するので年齢層は比較的高いように思う』(同氏)。

 例えば車椅子の人を見かけると、すぐに誰かが手助けをする傾向が強いのが欧州。人的なバリアフリーは日本に比べて高いといわれることが多い。訪問者の傾向の違いは自分の生活の延長で福祉を考えているかどうかの違いにあるように映る。

 一方、『日本もドイツも共用品や福祉用具に対する意識は高いように思われる』(森川さん)。高齢化社会は共通の課題。共用品の考え方はいずれの国でも真正面から考える時代にはいっている。アンケートでも企業や高齢者・障害者の病院業務に関わる人からは共用品の情報がもっとほしいという回答が多く、共用品の考え方や必要性がドイツのメッセでおおいに受け入れられたかたちだ。

同メッセは 昨年10月15日から4日間にわたり開催されたもの。約30カ国から850社が出展。来場者数は5万人余りの世界最大級のメッセ。(了)

(『週刊京都経済』 2003年12月8日付 掲載分)





【編集後記】 
日本 VS ドイツ さて・・・

◆年末年始、自分の中のリズムが狂い、発行が滞ってしまいました。今年最初の発行です。

◆外国で暮らしていると、妙なところで日本人であることや、関西人であることをひそかに意識することがあります。例えば、たまに無茶な運転をする自動車に出くわすと、なぜか『大阪の営業マンをなめるなよ』と心の中で毒づいていおります。そうです、大卒後 3 年弱、私は大阪の中小企業で営業マンとして働いておりましたが、大阪市内でお世辞にも行儀がよいとはいえない運転を日々していました。この時のことが反省することもなく私の中でむくむくとよみがえるのであります。

◆環境問題や福祉分野であれこれ調べると日本のほうが技術的に優れた製品をつくっていたり、実は世界のマーケットにかなり食い込んでいることが見えてくるときがあります。記事を書きながら、日独の統計資料などをにらめっこしていると、『日本をなめるなよ』と夜な夜な(夜中に原稿を書いていることが多い)、ひそかに毒づくのです。

◆とはいえ、日常生活を省みると、確かにドイツは環境先進国であり、福祉大国であると感じることが多いです。そして夜中に毒づいていたものが、あっさり白旗をあげることになります。つまり、モノをつくることのみをみると、日本はまんざらではないのですが、それを社会の中でどういうふうに扱うか、仕組みにしていくかといったときに日本のだらしなさとでもいえる部分に直面するわけです。

◆それにしても、たびたび書いたり、話したりしているのですが、交通ルールの遵守度という点でもドイツのほうが優秀です。たとえば、信号が黄色になったらアクセルを踏み込む自動車はほとんど見ることがありません。交通システムの中で自動車を運転しているという意識が大きいのでしょう。『大阪の営業マンをなめるなよ』などという自慢にもならない誇りを私は恥じ入るのでありました。(高松 平藏)


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発  行  人 : 高松平藏 
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